動物病院の経営を成功に導く4つの戦略|動物病院経営の現状と今後を予測

動物病院を開業する際には、経営を成功に導くための戦略を立てることが重要です。この記事では、動物病院経営の現状・今後の予測・経営の戦略について解説します。動物病院経営で気をつけるべきポイントも紹介しているので、開業を検討している人は参考にしてください。

目次

動物病院の経営とは?

動物病院を経営するためには、獣医師としてのスキル・使命・動物への愛情は必要不可欠です。しかし、動物病院の経営を成功させるためには経営スキルも必要となります。ここでは、動物病院の開業に向けてやるべきことなどを解説します。

獣医学部生の進路

動物病院の経営、以外の獣医学部生の進路について紹介します。

産業動物獣医師

家畜の病気を診るなど、体調を管理する仕事です。豚や牛などの畜産農家のところへ出向き、家畜の診察をします。JRAに就職すれば、競走馬専門の獣医師として活躍できます。

公務員

地方公務員として勤務する場合は、家畜衛生・食品衛生関連・自治体の動物園などでの仕事があります。国家公務員として勤務する場合は、厚生労働省・農林水産省にて、獣医資格の保持者として働きます。

民間企業

食品系・製薬系などの民間企業に就職し、動物関連の薬剤・飼料の研究・営業販売などの仕事を行います。

動物園

動物園では、獣医として勤務できます。動物園の獣医師としての募集は少ないため、一般の飼育員として就職する人もいます。

動物病院の開業に向けてやるべきこと

動物病院の開業に向けてやるべきことについて順を追って解説します。

開業時期と予算を決める

開業する時期と、予算を決定します。予算は自己資金と融資額を合わせた金額で決定します。

開業するエリアと物件を探す

予算を考慮し、開業するエリアと物件を探します。近くに競合となる動物病院がないか、患者が集まりそうな場所であるのか、などの事前調査を必ず行いましょう。

事業計画書を作る

開業にかかる費用・融資額・収益の見込みなどをまとめた事業計画書を作成します。

どこで融資を受けるか決める

銀行・日本政策金融公庫・各都道府県が行っている融資などから、融資を受けるところを決めましょう。

不動産契約をする

融資額が確定し、よい物件がみつかったら、不動産契約をします。動物病院の開業に理解を得られるように、契約前に周辺住民に挨拶をしておきましょう。臭いや鳴き声の対策などをよく説明することが大切です。契約後に住民からの反対があると、契約解除などのトラブルが発生してしまいます。

設備を整える

動物病院の内外装工事・設備の導入など、動物の診察ができる環境を整えます。臭いや鳴き声対策、衛生面などに気を配った設備にするよう心がけましょう。

スタッフを集める

受付や助手などのスタッフを募集・採用します。

広告を出す

動物病院を開業することを、看板・チラシ・ホームページなどで広告します。

開業

開業します。開業直前には、地域の住民を優先した内覧会を行う病院もあります。

諸官庁へ届けを出す

開業後に、家畜保健衛生所・税務署などの諸官庁への届け出を行います。従業員を雇用した場合には、労働基準監督署・ハローワークなどにも届け出が必要となります。

動物病院の経営に必要な資金と収入

動物病院の経営に必要な資金と、得られる収入について説明します。

動物病院の開業資金はいくら

病院の規模によって変わりますが、動物病院の開業資金は、約3,000万円と言われています。開業資金の内訳は以下のとおりです。

・不動産の賃貸費用:250万円 

・リフォーム費用:1,000万円 

・設備・備品・薬剤などの購入費用:1,500万円

・広告費:200万円

・諸経費:50万円

開業医と勤務医の年収の差

開業医の年収は500~1,000万円、勤務医の年収は250~400万円で、開業医の方が多いです。しかし、開業医の年収は、開業するにあたって受けた融資額や患者数に左右されるなど、動物病院の経営成功の度合いによって異なります。開業医として、高い年収を得るためには、動物病院を経営するための能力が求められます。

※参考:獣医の給料と年収 | Pettie 獣医 大学

動物病院経営の現状と今後を予測

動物病院経営の現在の状況と今後の予測を解説します。

獣医師と動物病院の増加

最近10年間ほど、獣医師と動物病院の数は増加し続けています。今でも獣医学部は人気があり、入学したいという学生の数は多いです。2019年に四国の獣医学部が新設されたこともあり、獣医師の数は今後も増え続けると予想されています。獣医師と同様に、動物病院の数も増え続けているのが現状です。

犬の飼育頭数は今後減少する

犬の飼育頭数は、今後減少すると言われています。犬の飼育頭数は、2008年に起きたリーマンショックを契機に、年々減少しています。ピーク時には1,300万頭が飼育されていましたが、2018年には900万頭弱となり、これからも大幅な減少が予測されています。

小動物の高齢化

ペットブームが起こった2006年頃に飼われ始めた小動物たちは、現在14歳以上となっています。老犬・老猫の患者数の割合が多い病院の場合、数年後には患者の減少が危惧されます。

求められる高度治療

高度治療を求める飼い主が増えています。犬・猫の高齢化により、重症な病気や慢性疾患が増加する傾向にあるためです。高齢化した動物に対する緩和ケア・介護・リハビリなど、高度な治療法が多く求められることになります。

動物病院の市場規模の今後を予想

最近の動物病院の市場規模は、動物の飼育頭数が減少傾向にあるにもかかわらず増加しています。これは、高齢化した動物の治療費が高額であるためです。動物の飼育頭数が今後も減少し続ける可能性を考慮し、対策を考えることは動物病院経営においては重要です。かかりつけ病院と専門病院が連携・協力するなど、組織的な取り組みなども検討する必要があります。

※参考:小動物獣医療の現状と今後の対応|農林水産省

動物病院の経営でよくある失敗例

動物病院経営でありがちな失敗例を紹介します。

立地が悪く新患が増えない

動物病院を開業した場所は、最寄り駅から車で20分、住宅地の外れ(半径1km以内に9,000人)で、少し寂しい地域です。近隣には患者数あまり多くない競合が1つあります。周囲には強い競合が数件あるためなのか、開業10年過ぎても、1日の患者数は5~10件と増えません。

原因:開業前のリサーチ不足

周囲の競合もきちんとリサーチすべきでした。あまり寂しい場所では、人通りも少なく、開業していることすら認知されないという可能性も考慮すべきでした。

解決方法:広告などで広く周知する

今からでも、近隣以外の住人に広く周知することをおすすめします。近隣以外の地域に看板を出す、ホームページを作成するなどで、遠方からの患者数を増やしましょう。

※参考:やってはいけない開業準部①|動物病院開業研究会

宣伝不足で患者が増えない

開業時にしか宣伝をほとんどしなかったため、開業後訪れた患者は2~3人、誰も来ない日もありました。売上は少なく、設備投資できないため、患者増やせず困っています。

原因:きちんと宣伝しなかった

動物病院開業時には、新規の患者を獲得することがもっとも重要であり、病院開業を多くの人に知ってもらう必要がありました。

解決方法:宣伝広告で開業をアピールする

動物病院の開業時には、病院の存在を周知するために宣伝広告はもっとも必要だといえます。看板・ちらし・ホームページの作成を初め、キャンペーン・内覧会など、地域の住民と広く交流しようとする気持ちを伝える必要があります。

※参考:動物病院の経営を失敗する原因は何?|どうぶつ病院ラボ

動物病院の経営を成功に導く4つの戦略

最近は、動物病院と獣医の数が増え、患者数が減少しているというのが現状です。動物病院の経営を成功に導くための戦略を4つ紹介します。

開業する立地の最適化

周囲に人通りが少なく目立たない場所、近所に人気の動物病院がある地域などは、開業する立地として適していません。犬・猫を飼う人が多いエリアや生活道路に面しているなど人通りが多いところをおすすめします。

新規患者の獲得努力

動物病院の経営を安定させるためには、新規患者の獲得のために努力することが大切です。入りやすい病院の外観、初めての人でも安心できる受付スタッフの温かい対応など、新規患者を獲得するための気配りをしましょう。ホームページを作成し、病院の開業・休診日・診察時間・アクセス方法などの情報を周知しましょう。

リピート率の向上

動物病院を経営する上で、患者のリピート率を向上させることは非常に重要です。何度も繰り返し来院してもらえるように、清潔な院内を保ち、医者・スタッフ共に、患者の家族との信頼関係を構築する努力を怠らないようにしましょう。リピート率が向上すると、口コミ・評判が広がり、新規患者の来院にもつながります。

医療機器・設備の慎重な選択

医療機器・設備を慎重に選択した上で導入することが必要です。医療機器・設備は高額なので、本当に必要なものを吟味して導入しましょう。開業当初に導入できなかった医療機器は、経営状態を見ながら徐々にそろえていけばよいです。開業するためには高額の資金が必要であり、開業後も赤字経営にならないための配慮が大事です。

動物病院の経営を成功させるための5つのポイント

動物病院の経営を成功させるために気をつけるべき5つのポイントを紹介します。

患者を迎えるスタッフの笑顔

患者と家族を迎えるスタッフの笑顔はとても大切です。患者の家族と最初に接するのは受付などのスタッフです。待合室などで、笑顔で話しかけてくれるスタッフの印象は、リピート率の向上につながります。

思いやりを感じられるスタッフの対応

思いやりを感じられるスタッフの対応は、患者の家族にとっては、非常にありがたいものです。スタッフが患者の家族の気持ちに寄り添って思いやりのある対応をすれば、安心できる病院だと感じてもらえます。

親身で分かりやすい説明

医師は、親身で分かりやすい説明を心がけましょう。病気や怪我の状態を、専門用語を使い過ぎないように注意が必要です。不安な思いをしている飼い主に対して、動物への愛情があふれていて、安心して頼れる獣医師になることが大事です。

医療費の明確化

医療費を明確にすることは大切です。動物の医療費は保険適用されないため、かなり高額となることがあります。病院により診療費が異なるので、きちんと料金を提示して、患者の家族の納得を得ることが必要となります。

最近は、任意の動物保険に加入する人も増え、患者の家族が自分で保険請求する機会が増えています。不必要な検査や処置などで高額な医療費を請求すると、患者の家族は不信感を覚えることとなるため気を付けましょう。

充実したホームページの作成

充実したホームページを作成しましょう。最近は、動物病院を探す際にホームページを見て、来院を決める人は多いです。わかりやすいデザインで、開業時間・料金・アクセスなど、内容の充実したホームページを作成しましょう。

まとめ

動物病院の経営を成功に導くためには、経営のための戦略を練ることが重要です。最近、家庭における飼育動物数が減少傾向にあるにもかかわらず、動物病院と獣医師の数は増加し続けています。動物病院を開業するためには、開業場所を十分にリサーチして決め、開業をする際には近隣に周知することが重要となります。

STスマイルは、動物病院開業のためにトータルサーポートを行っています。開業地選定・開業資金調達・医療機器選定交渉・スタッフ採用・労働規約など、開業するための業務は多岐にわたります。開業後の経営分析・Web広告運用などもサポートしているので、動物病院開業を検討中の人は、ぜひお問い合わせください。

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