動物病院の開業方法とは?開業の手順や資金の目安、獣医師の平均年収も解説

動物病院を開業したいけれど、具体的にどのような手順を踏めばいいのかわからない人は多いでしょう。この記事では、開業医として独立したいと考えている獣医師の人に向けて、動物病院を開業する手順を解説します。開業のメリット・デメリット、成功のコツなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

動物病院開業の現状

現在、少子化による人口減少に伴い、ペットの数も減少傾向にあります。一方で、獣医師や動物病院の数は増加傾向にあります。市場が飽和状態にある中で、やみくもに動物病院を開業するのはリスクをともないます。安定した経営を維持するためには、開業までのプロセスを慎重に進め、どのように経営していくのか具体的な将来設計を検討することが大切です。

新規開業と継承開業

動物病院の開業は「新規開業」だけではありません。引退する獣医師から事業を引き継ぐ「継承開業」もあります。

新規開業の場合、現状にあった立地や内外装、設備などを選べることがメリットです。しかし、軌道に乗るまで収入は安定せず、新規患者を獲得する手間もあります。継承開業は開業資金が少ない、開業当初からある程度の収入が見込める、既存患者がいることがメリットです。ただし、前の院長時代の患者から信頼を獲得し、経営状態をキープする難しさがあります。

動物病院を開業するメリット・デメリット

ここでは、独立して動物病院を開業するメリットやデメリットを解説します。

メリット

動物病院における開業医の勤務時間は、病院の診察時間となります。勤務医のように夜勤後に寝ないで出勤するようなことはありません。また、病院の内外装や設備は自分の判断で決めることができるため、自由な病院作りが可能です。自分の工夫や努力次第で、収入が大幅にアップする可能性があることも魅力です。

デメリット

開業医には赤字経営となるリスクがあります。不動産の借入れや内外装のリフォーム、設備など開業には多くの資金が必要になります。開業した後も思うように患者が来なければ、自分の収入を確保することも難しくなります。独立すると、売上の管理や従業員の取りまとめなど経営を考える必要があります。

動物病院を開業する平均年齢と平均年収

動物病院を開業する人たちの平均年齢と平均年収について説明します。これから動物病院を開業するかどうかの目安にしてください。

獣医師の平均年収

開業医の平均年収は約500万円前後となっており、中には年収500万円に届かない獣医師もいます。一方で1,000万円を稼ぐ人もおり、年収には大きな幅があることがわかります。動物病院は立地や患者の数などによって、得られる収入が変わります。獣医師としての知識やスキルだけでなく、経営者としての目線や考えを持つことも必要です。

参考:獣医の給料と年収|獣医大学Pettie

新規開業する獣医師の平均年齢

新規開業する獣医師に多い年齢はだいたい30歳頃です。中には40歳頃に独立するという人も少なくありません。大学を卒業し、国家資格を取得後すぐに開業するというより、まずは勤務医としてスキルを磨きつつ開業資金を貯める人が多いです。開業すると、さまざまな種類の動物や疾患を相手にしなければならないので、修業期間が必要といえます。

動物病院の開業資金の目安

動物病院の開業には3,000万円程度の資金が必要です。自己資金としては開業資金の20%くらいあると安心です。3,000万円の内訳は以下のとおりです。

(内訳)

医療器具・機器……2,500万円程度

不動産(賃貸)費用……200万円程度

内装・外装リフォーム代……200万円程度

広告宣伝費……100万円程度

銀行からは自己資金の10~20倍は借りることができますが、開業後も設備投資や運転資金が必要となります。融資は自己資金の5倍くらいに抑えておいたほうがいいでしょう。また、自己資金が多ければ借入利率を低くできます。

動物病院を開業する手順

動物病院を開業するには、どのような手順を踏めばよいのでしょう。ここでは、動物病院の開業手順を具体的に解説します。

目標やコンセプト、経営スタイルを決める

いつまでに開業するのか、どのような経営スタイルにするのか、どの程度の規模の病院にするのかなど、目標やコンセプトを明確に決定しましょう。だいたいの開業時期が決まれば、そこから逆算していつまでに何をするのかを決められます。コンセプトや経営スタイルは開業エリアの選定にも影響するので、早めに決めておいたほうがいいでしょう。

事業計画の立案

事業計画とは、開業する場所や病院の規模、資金計画、開業で見込まれる利益などをまとめた計画書です。融資を受けるときには、事業計画をもとにどのくらい融資してほしいのか、返済の見込みはあるのかを説明します。計画に盛り込む目標は、1年程度の短期目標から10年以上の長期目標まで具体的に設定しましょう。

診療エリアの調査、マーケティング

開業したいエリアの調査やマーケティングをします。どれくらい人が集まりそうか、近隣に同業者はいるのか、アクセスしやすいかなど細かく調べましょう。動物病院の経営は立地も重要です。いくら腕の良い獣医師でも、アクセスしにくいところでは患者は集まりにくくなります。

開業する土地や物件の選定

エリアを調査して経営や予算に合った場所を決めたら、動物病院のための物件を選びます。物件は駐車場の有無や、人通りなどをチェックしましょう。契約書は契約を交わす前に確認して、不備がないか確認してください。また、開業後に動物の鳴き声などで近隣トラブルになったケースもあります。開業前には近隣住民へ挨拶しておくことをおすすめします。

設備や内装の整備

物件を契約したら、内外装のリフォームや設備を整えて診察できる状態にします。すぐに動物病院だとわかる外装、清潔な待合室や診察室は、新規患者やリピート患者を取得することにつながります。あまりお金をかけすぎてもいけませんが、患者が来院しやすい動物病院を目指しましょう。

広告やサイトでの宣伝

動物病院の開業日が決定したら、チラシやパンフレット、Webサイトを製作して宣伝しましょう。現代ではインターネットで情報を調べてから来院する人が多いため、Webサイトの作成には力を入れたほうがよいです。診察時間、診療方針、料金、アクセスなどの情報が充実していると、患者が来院しやすくなります。

スタッフの募集、採用

受付や診察助手など、動物病院に必要なスタッフを募集し、面接、採用を行います。患者が来院して初めて会うのは受付です。獣医師は丁寧に接しても、ほかのスタッフの態度が悪ければ病院の信頼にも影響します。スタッフの選定は慎重に行いましょう。人材募集の媒体を使う以外にも、知人や先輩からの紹介に頼る方法もあります。

動物病院の開業を成功させるコツ

動物病院の開業を成功に導くにはコツが必要です。ここでは、成功のコツを挙げていきます。

事前の情報収集や資金計画・事業計画は慎重に

開業する前に、エリアの調査や患者のニーズを分析して、資金計画や事業計画を慎重に立てることが重要です。全体の開業資金の金額や、自己資金の金額などは具体的な数字を出し、事業計画は綿密に練りこみましょう。法律や財務については、会計士や行政書士など経営のプロに相談するとよりスムーズです。

信頼できる広告会社や医療コンサルタントを探す

動物病院の開業準備に不安がある場合は、専門家へ相談することも大切です。Webサイトの製作や宣伝、動物病院の開業をサポートしている医療コンサルタントなど、信頼できるパートナーを探しましょう。動物病院の開業について、具体的なノウハウなどアドバイスを受けながら成功までのプロセスを確実にしてください。

まとめ

動物病院の開業にはさまざまなプロセスがあり、事前の調査や計画の立案をどこまで具体化できるかが重要になります。開業して終わりではなく、長くにわたって必要とされる動物病院となるためにも、準備は慎重に進めましょう。

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