医療法人を設立するためには?設立までのスケジュールを紹介

クリニックの運営方法や税金対策を考えたときに、個人開業ではなく、医療法人の設立を考えるドクターも多いのではないでしょうか。

この記事では、医療法人の詳細や設立までのスケジュール、医療法人を設立した場合のメリット・デメリットを網羅的に解説します。医療法人の設立を考えている場合は、ぜひ参考にしてください。

目次

医療法人とはどういうもの?

医療法人とは、病院や診療所、または介護施設などの所有や開設を目的として、医療法の規定に従って設立される法人のことです。

医療法人は、大きく「財団医療法人」と「社団医療法人」の2つに分類されます。どちらも原則として理事長のほかに、医師あるいは歯科医師をおき、役員数は理事3人と監事1人以上の体制で運営することが求められます。資産要件としては、病院を開設する場合は自己資本比率20%以上を所有しなければなりません。

医療法人の種類

前述のとおり、医療法人には、財団医療法人と社団医療法人がありますが、99%は社団医療法人です。財団医療法人の場合、財産が基盤となっており、個人、あるいは法人の寄付による財産に基づいた体制となります。一方、社団医療法人は、病院などの開設を目的とした人の集まりで設立される法人です。

医療法人の構成

医療法人は株式会社の組織に似た構成となっています。最高意思決定機関として社員総会があり、業務執行機関として理事会を設立する必要があります。

さらに、監査機関として監事、役員を担う理事、代表者として理事長を据え置いて構成されます。監事や理事は社員から選任されます。さらに、理事長は原則として医師または歯科医師の理事から選出される仕組みとなっています。

医療法人設立までのスケジュール

都道府県によって設立の方法が異なるので一概にはいえませんが、基本的には5カ月ほどかかるとされています。この段落では、具体的なスケジュールを確認していきましょう。

1.医療法人設立説明会に参加する

医療法人設立説明会は年に2~3回程度開催されます。申請期限も都道府県ごとに異なるので、確認しておきましょう。

2.定款(案)を作成する

提出する必要がある書類を収集し、医療法人としての定款や案を作成します。

3.設立総会の開催

続いて設立総会、つまり理事会を開催します。総会では、策定した定款などを改めて確定します。

4.設立認可申請書の作成と提出

次に、医療法人設立のための申請書の原案を作成し、都道府県経由で申請手続きを行います。

5.設立認可申請書の審査

提出した申請書に関して、医療審議会で審査される前に事前審査があります。

6.都道府県医療審議会への諮問、答申

医療審議会にて審査が行われます。場合によっては見解を求められ、それに回答する必要があります。

7.設立認可書類を受領する

申請が無事に通れば、設立認可書類を受領できます。ただし、まだ登記は完了していないので注意しましょう。

8.設立登記申請書類の作成

登記に必要な申請書類を作成します。設立認可を受けてから2週間以内に申請をする必要があります。

9.登記完了(設立)

申請が完了したら、晴れて登記完了です。登記完了届や診療所開設許可申請書などを提出して、医療法人設立となります。

※参考:医療法人設立等の手続等について|厚生労働省

医療法人設立後の手続きとは?

医療法人設立後にも、さまざまな手続きを行わなければなりません。

ここでは、届出順に説明します。

まず設立後5日以内に、社会保険事務所に以下の書類を提出します。

【提出先:社会保険事務所】

・新規適用届(健康保険・厚生年金)

・被保険者資格取得届

・健康保険被扶養者(異動)届

・国民年金第3号被保険者の届出

続いて、10日以内に保健所と労働基準監督署、公共職業安定所に以下の書類を提出します。

【提出先:保健所】

・診療所廃止届(個人)

・診療所開設届(法人)

・エックス線装置廃止届(個人)

・エックス線装置設置届(法人)

【提出先:労働基準監督署】

・労働保険関係成立届

【提出先:公共職業安定所】

・雇用保険適用事業所設置届

また、14日以内に厚生局、保健所、市区町村に以下の書類を提出します。

【提出先:厚生局】

・施設基準届

【提出先:保健所、市区町村】

・公費医療関連指定申請書

さらに、20日以内には厚生局へ以下の書類を提出します。

【提出先:厚生局】

・保険医療機関指定申請書(法人)

・保険医療機関廃止届(個人)

1カ月以内に、税務署への書類を提出しましょう。

【提出先:税務署】

・給与支払い事務所等の開設届

翌月10日以内に、公共職業安定所へ以下の書類を提出します。

【提出先:公共職業安定所】

・雇用保険被保険者資格取得届

次いで翌月20日以内に、労働基準監督署へ以下の書類の提出が必要です。

【提出先:労働基準監督署】

・概算労働保険料申告書

2カ月以内には税務署へ次の書類を提出します。

【提出先:税務署】

・法人設立届出書

さらに、3カ月以内を目安に、以下の書類を提出しましょう。

【提出先:税務署】

・青色申告の承認申請書(設立3カ月以内に第1期が終了するなら、第1期終了日の前日までに提出)

提出期限は各年度、あるいは提出先によって変更される場合があるので、都度確認しましょう。

※参考:医療法人設立したい医師・歯科医師をサポートする|医療法人化.com

医療法人にした場合のメリットとは?

医療法人を設立することにより、さまざまなメリットを受けることができます。主に節税対策など、金銭面でのメリットが大きいです。

まず、個人の所得税が軽減できるほか、役員退職金を受け取ることができます。また、損金にできる支出が増え、欠損金の繰り越し控除も9年になるため、納税額を大きく抑えられます。さらに、社会保険診療報酬に対する源泉徴収がなくなることもメリットです。

事業の拡大など、中長期的な視点によるメリットも発生します。たとえば、分院の開設や介護分野など事業の拡大も可能となるのです。医療法人設立のための申請はもちろん、設立後の申請に手間と時間はかかりますが、それらを鑑みても有り余るメリットがあります。

医療法人にした場合のデメリットは?

しかし、メリットだけでなく、デメリットも少なからず発生します。デメリットを把握しておかないと、逆に損失が発生してしまうこともあります。

まず、残余財産が国などに帰属するため、余った財産を納める必要があります。加えて、事務作業も複雑になるので、その分コストが増えることもデメリットです。

そのほか、剰余金の配当が禁止になることや、地方税が均等割になること、接待交際費の損金算入限度額があることなどもデメリットといえます。また、役員、従業員ともに厚生年金への加入が必須となることにも注意が必要です。

対策や対応するスケジュールを組んでおかないと、損失を生み出してしまう場合があることを理解しておきましょう。

まとめ

医療法人を設立すれば、数多くのメリットがあります。しかし、設立までに時間がかかり、デメリットも少なからずあるので、対策や対応するためのスケジュール調整が重要です。

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