医院を承継して開業するには?メリットや承継を成功させるためのポイントを解説

医院の開業を目指すうえで、既存の医院を譲り受けるという医院承継のニーズが高まっています。通常の開業に比べて、さまざまなメリットがあるためです。

本記事では、今後開業を考えている人に向けて、医院承継の方法や、医院承継に必要なことなどを説明していきます。今後開業するうえでの参考にしてください。

目次

医院の承継について

医院承継とは、既存の医院を譲り受けて、新たな医院として開業することです。閉院を考えている医師に対価を払い、譲り受ける形で新たに医院を開業します。初期費用を抑えられるため、近年非常に注目を集めている開業方法です。

承継開業の特徴

承継開業の大きな特徴は、初期費用を抑えられるという点です。建物の建設費用や内装費用を抑えられるため、開業にかかる費用を大幅に減らせます。また、増改築を行わない限り、新たに建物を建設したり内装工事をしたりする必要もありません。開業までの工程が少なく、より早く開業できます。

また、医院を開業する際には、エリアの選定から土地の確保など、思った以上に時間と労力を使います。しかし、承継開業であればそれらに時間を費やすことなく、短期間で自身の理想の医院を開業することが可能です。

承継による開業が増えている背景

時代背景が変化したことによって、承継による医院の開業も増えています。その背景にはどのようなものがあるでしょうか。この段落では、主な3つの背景を見ていきましょう。

現・開業医の高齢化

高齢化の波は医療業界にも訪れており、診療所に従事する医師の平均年齢が上がっているという現実があります。医師の高齢化とともに施設も老朽化していくので、内装や外装の修繕、什器の新調など、さまざまな面で再投資をする必要があります。医師自身が高齢の場合、再投資のタイミングで引退を考える人も少なくありません。

それでも、社会貢献の観点から、医院を継続させたいという意思が働きます。そのような背景から、医院を承継させたいという人が増えているのが実情です。

第三者へのクリニック承継

親族間で承継させることも可能ですが、医師になる人が親族内でいなかった場合、承継できなくなってしまいます。それでも、廃業はしたくないという場合には、第三者へ病院を譲るという形で医院承継が可能です。

医院承継は、後継者側にさまざまなメリットが発生します。メリットについては後述しますが、タイミングが合えば承継したいという医師は増える一方です。

地域医療への貢献になる

医院承継は病院をそのまま受け継ぐため、既存の患者も引き継ぐことになります。患者側からしてみても、ほかの病院を探す手間が省けます。また、そのまま継続して同じ病院に通い続けられるほうが安心です。そのため、はるかに地域貢献度は高くなるといえます。

医院を承継して開業する主なメリット

医院承継の後継者側は、新たな医院を一から開業するより多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを5つ紹介していきます。

開業費用をおさえることが出来る

最も大きなメリットは、通常の開業よりも金銭的なリスクを大幅に減らせることです。医院を新たに開業する際は、不動産の取得や内装工事、医療機器の購入など費用の負担が大きいものです。一方、承継開業の場合は既存の医院から引き継げるため、それらにかかる費用を抑え、低コストで開業できます。

開業までの準備期間を短縮できる

新規開業の際に、開業エリアの選定から土地の取得、建物の建築などの準備に長い期間がかかります。しかし、承継での開業なら、承継元が見つかりさえすれば、短期間で自分の理想の医療を実践できるのです。開業までの時間が短縮できれば、医院の経営が軌道に乗るまでの期間も短くなります。

スタッフの引継ぎ

スタッフをそのまま引継ぐことができれば、さらなるコスト削減につながります。採用コストのほかにも教育コストなども削減できるので、大きな経営資源となります。また、コストの面だけでなく、スタッフ同士の連携がすでに取れているため、仕事のしやすさにつながることもメリットです。

集患がしやすい

地域ではすでに知られている病院として、開業当初からかなりの患者数が見込めます。すでに既存の患者がいる状態でスタートできるので、新規開業において非常に有利です。結果的に収益が上がるのも早く、事業計画も次のステップに入りやすくなるというメリットがあります。

その他のメリット

承継元の実績によって、融資が受けやすくなるメリットもあります。また、病床などの設備もそのまま引継げれば、よりコスト削減につながります。

また、本来集患するためには患者の口コミが非常に重要となりますが、医院継承であればすでに患者からの認知度も高いため、広告宣伝費用を削ることもできます。

医院承継の際の注意点

承継にはさまざまなメリットがある一方で、気をつけなければならないことがあるのも事実です。新規開業とは異なり、引き継いだ設備やスタッフ、権利や診療スタイルなどの実質的な問題があります。今後の経営に関わることもあるので、事前にしっかり確認しておきましょう。

この段落では、医院承継をする際の注意点を5つ紹介していきます。

経営理念、診療スタイル、売却価格の問題

前院長の考え方によっては、経営理念や診療スタイルなども引き継いでほしいと希望するケースも少なくありません。これは、前院長がこれまで診察してきた患者のニーズに応えたいという面があります。実際、診療方針が全く変わってしまうと、患者も戸惑うことになるでしょう。そのため、承継した後も前院長が診療や運営に関わってくることがあります。

また、譲渡価格は医院の財産や土地・建物、医療機器、実績や信頼などを総合的に判断して決定します。しかし、実績や信頼などの付加価値はどうしても評価しづらいものです。加えて、建物の老朽化による修繕費や、承継後に前院長が把握していなかった契約や負債などがわかり、トラブルになることもあります。思わぬトラブルに巻き込まれないよう、事前にしっかりと確認しておきましょう。

引継いだスタッフとの関係

元のスタッフは、いったん現職を退職させたうえで新規雇用することになるため、給料面などでトラブルになってしまうケースがあります。良好な関係を築くためには、事前に給料に関するルールを設定しておくなどの対策が必要です。

場合によっては、新たにスタッフを募集して開業するほうがスムーズなこともあります。その場合は採用コストなどがかかってしまいますが、長期的に見てどちらがよいかを判断しましょう。

地域の患者様への事前の説明が大切

医師が変わるため、承継によって離れてしまう患者が出てくることも十分考えられます。従来の診察と自身の診察をすり合わせたうえで、丁寧に患者へ説明する必要があります。また、個人情報の問題にもなり得るため、カルテの引継ぎに関してどう患者に説明するかも、あらかじめ決めておく必要があります。

老朽化した設備の問題

設備をそのまま受け継いだとしても、あくまでそれは中古品です。すでに長年使用されていた場合は、メンテナンスや入替が必要になるケースもあります。

古い設備をメンテナンスすると、かえって費用が高くなる場合も考えられます。しかし、処分するにもやはり費用がかかってしまいます。設備の状態などをしっかりと把握してから、引き継ぐかを考えましょう。

のれん代(営業権)が必要となる

のれん代とは営業権として支払う金額を指します。営業権は目に見えない部分で、医院承継を行ううえで得られる後継者側のメリットを考慮して、後継者側が譲渡する側に支払うものです。

ただし、その価値を判断するのは難しく、トラブルになりやすいところでもあります。計算になれていないと算出も難しいので、プロのコンサルティングに任せるのも一つの手です。

医院承継を成功させるには

医院承継にはいくつか注意点があることを説明しましたが、成功させるためのポイントも知っておきましょう。詳しく解説していきます。

事前準備をしっかりとする

設備はどうするのか、経営方針はどうするのかなど、承継する側、承継される側の当事者間で話し合いを要する場面は数多くあります。話し合いも含めて、事前の準備は怠らずに最後まで詰めていくことが重要です。

また、承継前から医院で医師として勤務し、スタッフとコミュニケーションをとったり、患者の引継ぎを行ったりすることもできます。承継後に新しい院長として受け入れてもらうのに効果的です。

専門家を活用する

譲渡する側もされる側も、土地や医療機器などの価格については妥当性を調査しなければなりません。リスクの有無を判断するためにも、専門家に間に入ってもらう必要があります。

承継の手続きには、会計や税務、法務などに関する知識も必要です。また、医院が法人なのか個人なのかによっても手続きが変わります。事業譲渡を受ける側は、法務上や財務上のリスクも引き継ぐため、入念な調査が必要です。しかし、承継される医師がすべてを自分で調査するのは困難といえます。

手続きに不備があれば開業できなくなる恐れがあるため、信頼できる専門家を活用しましょう。

【その他】ホームページ作成準備など

承継する際にはホームページをリニューアルしたり、チラシを配布したりして、集患に向けた準備を進めていきます。ホームページの運用にも知識が必要なので、作成する際には専門家を活用することがおすすめです。

まとめ

医院承継は開業資金が抑えられるというメリットがあります。しかし、リスクや注意点を把握しておかないと、後にトラブルになることもあるので注意が必要です。

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