開業医の年収はどれくらい?|開業のメリットや年収をアップさせるポイントを解説します

勤務医の人を中心に、開業医としての独立を考えている人も多いでしょう。開業には、勤務医にはないメリットが多くあります。一方、開業医ならではの注意点もあるので、念入りに準備することが大切です。

この記事では、開業医の年収や開業のメリット、年収アップの方法などについて解説します。これからの開業準備にぜひ役立ててください。

目次

開業医の年収について

開業医を目指すにあたり、一番気になるのは年収ではないでしょうか。まずは開業医と勤務医の年収比較を行います。

ただし、すべての開業医が同じ条件で開業するわけではありません。そこで、開業医は本当に高年収であるかという点もあわせて紹介します。

開業医と勤務医の年収比較

一般的に、開業医の年収は勤務医に比べて約1.7倍以上といわれています。

厚生労働省が2017年に実施した第21回医療経済実態調査によると、経営母体を問わず、病院勤務医の年収は約1,488万円です。一方、個人や医療法人を含めた開業医の年収は約2,748万円であり、約1.8倍程度の差がありました。

なお、開業医の収入は給与ではなく事業収入です。経費や借入金の返済額によって手取りが大きく異なる点には注意が必要です。

参考:【政府統計の総合窓口】医療経済実態調査(医療機関等調査) 第21回医療経済実態調査医療機関等調査 全体版

本当に開業医は高年収か

年収の高さをはじめ、開業医は好待遇なイメージがあります。しかし、本当にどの開業医は高年収なのでしょうか。開業医といっても、実際の年収はさまざまです。開業医の平均を大きく超える年収の人もいれば、勤務医とそう変わらない年収の人もいます。

また、開業医と勤務医では求められる責任や仕事の範囲が大きく異なります。そのため、一概に年収の多寡のみで開業医のメリットを判断する図るのは難しいでしょう。いずれにしても、あらかじめ年収の違いを理解しておくことは、開業計画を立てる際に役立つはずです。

開業医の年収

次に紹介するとおり、開業医によって年収が異なる理由は主に2つあります。それは診療科ごとの違いと、手取りの差です。特に、手取りの差は開業計画などにも大きく影響されます。これから開業計画を立てる際には留意してください。

診療科ごとにも年収は異なる

診療科によっては、年収が100万円以上異なるケースも少なくありません。診療科ごとに年収差が生じる理由として、それぞれの診療科の需要が挙げられます。

たとえば、デジタル機器を見ることが多い昨今では、視力低下から眼科を受診する人が多いといえます。また、花粉症の患者さんにとっては、年に数回程度、耳鼻咽喉科へ通うのが欠かせません。こうした診療科は需要が途切れにくく、年収も高い傾向にあります。

手取りが多いとは限らない

年収が高くても、手取りが多いとは限りません。クリニックの開業は、金融機関からの融資を受けて行うのが一般的です。当然ながら、返済は年収から差し引かれます。また、人件費や設備投資など、運営にかかる経費も無視できません。

年収が勤務医時代より増えたとしても、金融機関への返済や経費が大きければ、手取りはそれほど残らないものです。

開業のメリット

開業医になると、勤務医時代にはなかったメリットを享受できます。年収のアップだけではなく、診療スタイルや時間の使い方、さらには経営へのコミットといった部分にも大きな変化が生じるでしょう。それぞれの内容を具体的に紹介します。

独自の診療スタイルの実現が可能

開業医は、自分でクリニックの診療スタイルを決めることができます。最先端の機器を駆使した高度な医療を実践するのもよいでしょう。あるいは、患者からのヒアリングに重点を置いて一緒に治療計画を作るというスタイルも考えられます。

医者としてやりたかったことが実現できる場を作ることができます。仕事とやりがいが直結することが、開業する大きなメリットです。

年収アップが見込める

先に紹介したように、開業医の年収は勤務医よりもかなり高いといえます。診療科や事業計画などの諸条件がうまく揃えば、格段の年収アップが見込めるでしょう。特に、経営センスを持ち合わせた医師であれば、早期に運営を軌道に乗せて手取りのアップを図れます。

ただし、借入金の返還や運営経費の発生などを考慮すると、手取りも同じようにアップするとは限りません。年収アップは経営のしかたによるのです。

自分で計画し時間を使える

開業医は、クリニックの診療時間を自分で決められます。自分の裁量で勤務時間を設定したいという人には見逃せないメリットです。また、勤務医に比べると、医局などでの人間関係に煩わされることがなく、勤務終了後に仕事関係の延長で拘束されるという心配もありません。その分だけ、プライベートの時間もとりやすいといえます。

医師としてだけでなく経営に携われる

開業医はクリニックの経営者となります。経理や税務、採用、労務管理など、経営者としてあらゆるマネジメントを実施しなければなりません。医療だけではなく経営そのものに深く携われるという点は、人によって大きなメリットとなります。

確かに、経営マネジメントは大変です。人事や経理に関する知識やスキルも身に付ける必要があります。しかし、経営がうまくいけばいくほど、信頼される評判の良いクリニックとなり、さらには年収のアップも期待できます。努力次第では、クリニックをどんどんよくしていくことが可能です。

開業の際に気をつけたいこと

開業医は雇われの身分ではなく、経営者です。勤務医時代のように任された仕事だけを行うという意識のままでは、経営は成り立ちません。

当然ながら、経営上の最終的な判断は自分で行う必要があります。その分だけ責任や負担も増加します。あらゆる責任を引き受ける覚悟を持ったうえで、開業に踏み切りましょう。

開業にあたり、経営リスクや労務管理、急患などへの対応は特に気をつけておきたいポイントです。また、マネジメント能力やコミュニケーション、そして集患対策の重要性も意識しておきましょう。

資金調達などの経営リスクが発生

医師という職業の信頼性から、クリニックの開業では金融機関の融資を受けやすいといえます。しかし、思ったよりも集患が見込めない場合、赤字経営の期間が当初の予測よりも長引くこととなります。経営が失敗したと判断されると、金融機関の融資が打ち切られる可能性もあるのです。

経営リスクを最小限に抑えるためにも、事業計画は厳しく見積もっておきましょう。開業地の選定や集患シミュレーションも詳細に詰めることが大切です。

従業員の労務管理等の必要性

従業員の労務管理などは、開業医が行わなくてはなりません。主な業務として、採用や退職の手続き、業務の説明、出退勤の管理、給与の支給手続きなどがあります。

注意しておきたいのは、退職リスクです。退職者が出ると、次の採用者の選定や採用手続きを進める必要があります。また、仕事内容の説明や指導などには時間や労力がかかるものです。慣れるまでの間は、他の従業員の負担も増えます。したがって、できるだけ退職者を出さないような対策が重要です。

休日夜間の急患などへの対応や、自分の代診がきかない

休診日や診察時間外に、急患がくることも少なくありません。特に、主治医として普段から診ている患者の場合、救急病院よりも先にクリニックを頼ってくる可能性があります。

もちろん、医者も人間である以上、休息や休養が必要です。しかし、人間の体調や怪我は制御できないものです。休んでいる間にも急患がくる可能性は、常に意識しておく必要があります。また、体調不良や学会参加などで休んだ場合、代診がききません。そのため、基本的にクリニックは休診となります。休診した分だけ収入が減るという点にも注意が必要です。

マネジメント能力やコミュニケーション能力も必要

クリニックの運営を行う開業医にとって、マネジメント能力は必須です。地域や患者のニーズをくみとる力、経営ビジョン、新しいものを取り入れる柔軟性、クリニック全体の収支に関する視点など、どれも安定した経営に欠かせないものです。こうしたマネジメント能力をひとつずつ養っていきましょう。

また、医師、従業員、患者といった異なる立場の人が集うクリニックでは、コミュニケーション能力が必須です。トラブルの解消も、患者からの信頼も、普段のコミュニケーションの成否にかかっているといえます。

集患の対策も行わないとならない

診療や普段の経営に加えて、クリニックの集患対策にも気を配る必要があります。クリニックの収入の柱は診療費です。患者が多ければ多いほど、診療費も増え、クリニックの経営が安定します。

ただし、後述するように、集患対策にはいくつかの方法や注意点があります。内容をよく理解して、重点的に実施することが大切です。

クリニックの評判を上げることも、集患には欠かせません。普段の医療行為や患者さんとのコミュニケーションが、そのまま評判に直結するということを常に意識しましょう。

開業医の年収アップに必要なこと

実際に、平均額を大きく上回るような年収の開業医がいるのも事実です。年収の違いを生み出すポイントは、集患数にあります。次に紹介する集患数の情報から、年収アップに必要なことへの理解を深めましょう。

集患数を増加させる

クリニックの収入は、患者の数によって大きく異なります。たとえば、患者1人を診療した場合の純利益を5,000円としましょう。1日の患者数が10人増えると、1日の利益は5万円です。ひと月の診療日数が20日ある場合、月々の利益は100万円、年間では1,200万円にもなります。

したがって、集患数の増加は収入アップを図りたいクリニックにとって、最も重要な課題です。できるだけ開業から3年以内に具体的な対策を講じて、多くの患者さんを診るようにしましょう。

3年以内とする理由は2つあります。1つは時間の経過とともに、競合するクリニックの数が増えやすいためです。ライバルが少ないほうが、集患は容易です。

もう1つは開業医の年齢です。歳をとると体力が低下し、1日に診られる患者数も減ります。多くの患者を診られるうちに、集患数を増加させましょう。

集患数を増加させるための方法

集患数を増加させるためには、開業から1~3年以内の集患対策が最も重要です。特に1年目は、まだクリニックに対する地域や患者さんの認知が進んでいない時期です。この時期にしっかりと宣伝を行い、評判を高めましょう。

主な集患方法としては、ホームページやチラシ、看板などがあります。また、開業前に内覧会を実施して、近隣住民に実際に足を運んでもらうも効果的です。効果をより高めるために、専門性を持ったコンサルタントなどに依頼するのもおすすめです。

ホームページ作成の重要性について

主治医が特にいない場合、患者はインターネット上でクリニックを探すのが一般的です。ホームページを充実させて、患者が知りたい情報を掲載しましょう。

クリニックのコンセプトや雰囲気、得意とする診療分野を記載し、ホームページだけでクリニックの具体的なイメージを持てるようにすることが大切です。また、疾患についての情報や治療実績も記載しておくと、対象の患者を引きつけやすくなります。

まとめ

開業医の年収は、必ずしも高いとはいえません。実際の手取りを増やすためには、経営を軌道に乗せて、多くの患者を集める必要があります。紹介した内容をもとにして、クリニックの経営をうまくマネジメントしましょう。

経営部分は専門家に任せたほうが、より早く軌道に乗せられます。

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