診療所の開設届とは?申請先や注意ポイントも紹介!

診療所やクリニックを開業するにあたっては、多くの手続きが必要になります。スムーズに準備を進めるためにも、必要な法務上の手続きに関して把握しておくことが大切です。この記事では、開業に必要な開設届について申請先や目的などを詳しく解説します。開業準備を始める際の参考にしてください。

目次

開業に必要?診療所やクリニックの開設届とは?

診療所やクリニックの開業には、さまざまな準備や届出が必要になります。ここでは、開業準備に必要なことや手続きについて解説します。

診療所開業準備に必要なこととは?

診療所の開業準備では、まず事業計画の策定をおこないます。事業計画の策定では、投資金額を決定したり、キャッシュフロー表を作成するなどの必要があります。また、開業資金を用意し、診察所の物件選定と医療機器の手配をしなければいけません。そのほかにも、採用活動をし、人員の確保が必要になります。

開業に必要な手続きとは?

開業においては、諸官庁への届出や申請が必要です。たとえば、保険診療をおこなう場合は指定医療機関コードの取得が必要になります。ほかにも、労働保険や社会保険の手続きや、防火管理者講習の受講などもおこなわなければいけません。これらの各種手続きや申請は、医療行為、社会保障、事業経営に関わるものであるため、事前に把握しておくことが大切です。

ここからは、必要な手続きについて具体的に詳しく解説します。

診療所の開設届を申請する前にすることとは?

診療所の開設届を申請する前に、おこなうべきことについて解説します。必要な手続きを事前に確認しておきましょう。

診療所開設届の事前相談とは?

診療所の開業においては、開業日から10日以内に必ず「診療所開設届」を保健所へ提出しなければいけません。しかし、実際には開業日よりも前に窓口に足を運ぶ必要があります。なぜなら、事前相談なしに診療所開設届を提出しても受理されることが少ないからです。

受理されずに指導が入ってしまうと、スムーズに開業することができません。そのため、必ず事前相談をしてスムーズに受理されるように準備しておきましょう。事前相談で相談する具体的な内容については次に説明します。

事前相談での相談内容とは?

事前相談では、院内レイアウトについて指導されることが多くあります。そのため、内装工事をする前に相談をすることが大切です。診療所の名称については、近隣に似た名称の診療所がある場合は変更を求められることもあります。看板やチラシを作成したあとに、名称の変更依頼があると時間と手間もかかってしまうので確認が必要です。

申請先別!診療所開設届を解説

診療所の開設届にあたって、申請先別でそれぞれどういった書類が必要になるのかを見ていきましょう。

区市町村

区市町村の窓口には、「各種医療機関指定申請書」の届出が必要です。書類は、診療所の所在地を管轄する市区町村に提出します。用紙は各市区町村の窓口や公式ホームページからも入手可能です。

保健所

保健所への届出は「開業に関する届出」「装置に関する届出」「治療に関する届出」にわけられます。開業に関する届出は、「診療所開設届(個人開業)」「診療所開設許可申請書(法人)」「診療所使用許可申請書(有床の場合)」の3つです。

装置に関する届出は、「診療用X線装置備付届」が必要になります。治療に関する届出は、「麻薬管理者免許申請書(麻薬施用者が2名以上になる場合)」「麻薬施用者免許申請書」「感染症指定医療機関申請書(結核など)」の3つが必要になります。

厚生局

厚生局への届出は、個人で開業する場合は「保険医療機関指定申請書」が必要です。この書類は、法人の場合は提出が不要となっています。また、「診療料の施設基準等に係る届出書」も提出しなければいけません。様式は厚生局の公式ホームページでも入手できます。

医師会

地区の医師会への届出では、「母体保護法指定医師指定申請書」が必要です。様式は各医師会の公式ホームページで入手できます。提出先は所属する各医師会となります。

労働基準監督署・公共職業安定所・社会保険事務所

労働基準監督署には、「労災保険指定医療機関指定申請書」の届出が必要です。また、公共職業安定所には雇用保険や労働保険、社会保険事務所には社会保険に関する各種届出が必要となっています。

社会福祉事務所

社会福祉事務所には、「生活保護法指定医療機関指定申請書」の届出が必要です。提出先は、診療所の所在地を管轄する福祉事務所です。申請書の様式は、各福祉事務所の公式ホームページでも入手できます。

診療所の開設届!申請の注意ポイントとは?

診療所の開設届を申請する際には、いくつか注意したいポイントがあります。手続きをおこなう前に確認をしておきましょう。

診療所の目的に合わせた申請をおこなう

開業申請にあたっては、「診療所ではどういった診察をするのか」という目的に合わせておこなわなければいけません。保険診療をおこなう場合は、管轄の厚生省に「保険医療機関指定申請書」の提出が必要です。診療所開設届だけでは、自由診療しか認められないため注意しましょう。

開業日に合わせた申請をおこなう

申請では、締切日も意識する必要があります。締切日は各都道府県によって異なりますが、保険医療機関は原則毎月一日付けと指定しています。万が一、締切日より提出が遅れてしまうと、開業が先延ばしになってしまいます。そのため、締切日に遅れないように、保険医療機関指定申請書を提出することが大切です。

診察所の開業!税務関連の届出とは?

次に税務関連の届出について、どんな書類が必要なのかを解説します。必要な届出は主に4つです。

所得税の青色申告承認申請書

節税の観点では、青色申告承認申請書の提出は欠かせません。青色申告承認申請書を提出することによって、65万円の青色申告特別控除を受けたり、赤字を翌年に繰り越したりすることができます。開業から2カ月以内が提出期限となるため、早めの提出を心掛けましょう。

減価償却資産の償却方法の届出

減価償却資産の償却方法の届出とは、償却方法を選定できる手続きのことです。償却方法には、「定率法」と「定額法」があり、減価償却費をできるだけ多く出すためには、定率法を採用する必要があります。減価償却資産の償却方法の届出を出さない場合は、定額法が適用されることになります。

給与支払事務所等の開設届出書

給与支払事務所等の開設届出書とは、従業員に給与を支払う場合に必要となる届出です。給与を従業員に支払う際には、源泉所得税を預かり、年末調整をおこなう必要があります。給与支払事務所等の開設届出書は、開設日から1カ月以内に提出する必要があるため、忘れずに覚えておきましょう。

青色専従者給与に関する届出書

青色専従者給与に関する届出書とは、配偶者などの家族に対して支払う給与を経費計上するための届出です。給与を受ける家族や配偶者が青色事業専従者として認められるためには条件もあり、事前に確認が必要です。青色専従者給与に関する届出書の提出期限は、青色事業専従者が働きはじめた日から2カ月以内になります。

まとめ

診療所やクリニックをスムーズに開業するためには、事前に必要な手続きを確認し、指定された締切日に遅れないようにすることが大切です。開業準備が難しい場合は、コンサルティングサービスを受けるとスムーズな開業につながります。

STスマイル」では、税理士や弁護士、医療経営士と連携して開業資金調達や開業地選定、スタッフ採用など開業に必要なプロセスをトータルでサポートします。開業後も自院分析から市場分析などをおこない、マーケティング活動のお手伝いもします。これから診療所やクリニックを開業する方は、ぜひSTスマイルのコンサルティングサービスをご活用ください。

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