内科の開業に必要な資金は?費用の内訳から開業後の収支まで解説

内科での開業を考える際に、まず気になるのは開業にかかる資金ではないでしょうか。どれくらい用意すればよいのか悩む人も少なくありません。

この記事では、内科の開業資金について内訳や、開業後の収支について解説します。

ぜひ参考にしてください。

目次

内科の開業費用はいくらかかる?

内科の開業資金は、開業するエリアや設備によっても変わってきます。そのため、1,000万~1億円以上までと幅があるのが実情です。実際にいくらかかるのか一概にはいえませんが、一般的には8,000~9,000万円くらいかかると想定されています。

仮に8000万前後として、以下で開業費用の内訳や診療科目による費用の差、開業後の収支について解説します。

開業費用の内訳とは?

ここでは、開業する際、一般的にかかるとされる費用を10項目紹介します。

内装造作費

内装造作費とは、病院の内装に当たる部分の費用です。床や壁、天井の組み立て費用などのほか、照明や空調なども内装造作費に分類されます。工事するうえでの坪単価は40~50万円相当で、概算で1,500〜3,000万円程度が目安です。診療方針によって材料の質や診察室の数、循環器や呼吸器検査のための大きめな検査室、前処置室の有無、必要な設備機器などが大きく違うため費用が変わってきます。特に診察室の音漏れを気にする患者様が増えているため防音への配慮は必須です。また、差別化を狙った先進的なコンセプトとする場合は大きく変わることがあります。

医療機器

医療機器は、診療する科によって必要になるものも変わりますが、概算で2,000〜6,000万円程度になるといわれています。ただし、リース契約を結んだり中古を選択する医院も多いです。

たとえば、一般撮影装置や超音波診断装置などのほか、電子カルテもこの費用に分類されます。また、内視鏡や心電計、CR/PACS、などの費用も含まれます。

地域包括ケアが進む中、他の医療施設や介護施設との連携や訪問診療のニーズを開業後にリサーチする必要が出てきています。そのため、どの程度高度な医療機器が求められるかわかりにくく(集客の目玉ではない医療機器は)中古機器で様子を見るケースが増えています。

集客や生産性向上の目玉となる医療機器については、ある程度の予算をかけ中長期の運用を想定した導入を検討します。

極端な例ですが、訪問診療をメインとする場合レントゲン装置すら必要ないし、広域の機関との連携を狙ってMRIを導入することもあります。

什器備品

什器備品とは、待合ソファーや診察机、椅子など、院内で使用する家具のことです。ほかにも休憩室やキッズルーム用の机・椅子・おもちゃ・DVDプレーヤーなどのほか、レジスター、電話機器、予約システム、空気清浄機、パンフレットや書籍をおく患者様向けの書棚、おむつ交換台などもコンセプトによって必要となります。

また、従業員の勤怠管理をタイムカードなどで行う場合は、タイムレコーダーやiPadなども用意します。什器の購入にかかる費用は、大体総額で150~300万円程度が目安です。

保証金(敷金など)

保証金とは、債務を担保するために預ける費用で、賃貸借契約する場合の敷金などが含まれます。一般の住居を契約する場合よりも多く費用がかかり、月額賃料の6~12カ月程度を用意するのが基本です。開業するエリアによって費用は差がありますが、大体総額で180~500万円程度が目安です。

礼金、仲介手数料

礼金は賃貸借契約の謝礼として、賃貸人に支払うために用意します。敷金とは異なり、退去時に返金されることはありません。また、仲介業者を挟んで物件を探した場合は、仲介手数料もかかります。それぞれ月額賃料の1~3カ月程度が一般的です。家賃によりますが、100万円程度が目安です。

前家賃

前家賃は、契約時にあらかじめ支払う翌月分の家賃のことです。賃貸借契約は内装工事の期間も含まれます。そのため、基本的に開業前から家賃が発生します。工事の規模にもよりますが、月額賃料の2カ月分が必要です。敷金・礼金同様、家賃次第ではありますが、60~100万円程度が目安となります。

運転資金

開業当初は売上が十分見込めるとは限りません。しかし、売上が少ない時期でも人件費や家賃などのランニングコストは支払わなければならないので、その費用を大体の概算で準備しておく必要があります。従業員の数などでも変動しますが、3,500万円程度の運転資金を用意しておくと安心です。

医師会入会金

医師会に入会する場合、入会金を支払う必要があります。(医師会への入会で義務)金額は各医師会によって差があるので一概にはいえませんが、およそ年間200万円程度が目安となります。一般的に高額なため、事前に調べておくことが重要です。正確な金額を知りたいときは、入会する医師会に確認しておきましょう。

輪番の当番医(休日当番医や夜間診療など)や審査業務、各種委員業務など面倒ごとが多いため、若い医師の医師会未加入希望が多くなっています。ただし、病診連携や診診連携の構築、自治体が提供する医療業務の委託(予防接種や検診)など「集客や地域での安定経営」という観点でのメリットが多く弊社は加入をオススメしています。

広告宣伝費

開業時には、開業の宣伝をして集患しなくてはなりません。広告・宣伝には、チラシや看板、ホームページなどの製作費用がかかります。また、製作したチラシをポスティングする際にも費用が発生するので、合わせて計上しておきましょう。およそ300万円ほどかかります。

消耗品や予備費

診察券などの印刷物や筆記用具などの事務用品、そのほかトイレの備品や子供や女性、高齢者向けのアメニティなどの消耗品費用が必要です。また、追加で必要となる医薬品などの費用も考慮しておくと安心です。消耗品と予備費用を合わせて200万円ほどを見積もっておきましょう。

参考:開業に必要な費用について[1] 

専門領域によって費用は変わる

内科の中でも専門によって開業資金は大きく異なります。

代表的な診療科目ごとの、開業に必要な費用は以下の通りです。

診療科目 費用(万円) 補足事項
一般内科5,000~8,500一般内科のみと、それ以外も診るのでは戦略もだいぶ変わります。一般内科のみの場合、大都市部では厳しいエリアもあるので、郊外も視野に入れるとよいでしょう。
消化器内科7,000~10,000下部内視鏡検査を行うかどうかで敷地面積、設備、集患方針も変わります。敷地面積が変われば当然開業費用は高くなりますが、専門検査導入のためのレイアウトに余裕が出てくるのでその分診療も集患もしやすくなります。
呼吸器内科7,000~8,500ファミリー層、特に小児ぜんそくの患者を獲得できるかどうかがポイントです。
循環器内科6,000~15,000患者にとっては何を診てくれるのかわからないケースが多いので、ホームページなどで詳細に記載しておくと、集患しやすいでしょう。
糖尿病内科5,000~8,500大体の目安としては、一般内科と同じくらいの開業費用です。管理栄養士と看護師を採用できるかどうかがポイントになるので、ホームページでは集患のほかにも、スタッフの募集に目を向けるとよいでしょう。

参考:一般内科の開業資金・自己資金・収入[2] 

開業後の収支を見積ろう

あらかじめ開業後の収支を見積もっておけば、たとえ開業してすぐには軌道に乗らなくても、予算に対してどの程度差があるのかわかるため、修正がききます。開業後の収支は必ず見積もっておきましょう。

開業後の収支の目安

一般的な個人クリニックの年間収支は以下の通りです。

厚生労働省「第21回医療経済実態調査の報告(平成29年実施)」のデータを参照しています。

収益(万円)
医業収益 8,924
介護収益 9
経費(万円)
人件費※院長の収入は含まない 2,255
医薬品費 1,363
そのほか 2,428
合計(収益‐経費)(万円) 2,887

経営が軌道に乗るまでの運転資金の確保は必須

実際開業しても、当初から黒字になるわけではなく、経営が軌道に乗るまでは不足した売上を補てんするクリニックが多いのが実情です。エリアの特性だったり、広告宣伝が不十分だったりすると、赤字が続いてしまうことも少なくありません。

運転資金を十分に用意していれば、損失が発生してもしばらく補てんが可能です。黒字になるまで時間がかかることを理解したうえで、適切な収支目安を立て、運転資金を用意しておく必要があります。

事業計画をしっかり立てよう

開業したからといって、必ず成功するわけではありません。エリアによっては飽和状態となっている科もあるため、事業計画をしっかり立てて、戦略的に経営を行う必要があります。

そのエリアの特性をしっかりと見極め、自分が診る科が本当に必要とされているのか、どのようにアプローチをすべきかなど、しっかりと計画を立てましょう。

開業資金は専門家へ見積依頼しよう

開業資金の見積もりは、開業後の事業計画にも密接に関連します。ここを見誤ると、事業の失敗に直結してしまいます。開業資金に関して不安がある場合は、プロのコンサルを頼るのも一つの方法です。専門家に詳細な見積りを立ててもらい、計画を練ることをおすすめします。

まとめ

内科の開業にはさまざまな費用がかかるため、あらかじめ詳細な事業計画を立てることをおすすめします。まずはプロに見積もりを依頼しましょう。

STスマイルは、開業前の徹底調査と準備で、税理士・弁護士・医療経営士と連携し、開業地選定・開業資金調達などをトータルサポートします。

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